




「こみち荘」のオーナーでもあるさやかさんが、ナイジェリア人の夫との新居のために下町の一軒家をリノベーション。当初は1階の入口で夫が飲食店(モヒートバー)を経営する予定だったものの、近隣との懸念があり断念。それでもせめて将来に可能性は残しておきたいと、たとえば軒先でお弁当販売ができるくらいをイメージして、玄関を幅広の引き戸にし、靴脱ぎ場を大きく確保した。その結果として、未だ近所づきあいが濃く残るエリアに大きく開かれるおおらかな住まいとなった。道路には常にこどもたちの声が溢れ、はす向かいの銭湯に通うお年寄りたちが行き交う。大きく開かれた玄関はベビーカーや自転車もゆったり置かれて子育てにも優しく、廊下を排除することで奥まで見通せるワンルームとなり、突き当たりには外光が差し込む浴室が生まれた。ガラス張りの浴室は室内に光を取り入れるだけでなく、小さな赤ちゃんをお風呂に入れる様子をキッチンから見つめることができるなど、この家に似合う機能を持つことができた。
間口が狭く両隣の家とほぼ接している長屋のような状況でありながら十分な断熱や遮音ができておらず、断熱性が低く、互いに生活音に気遣いながら生活している状況だったため、敷いてあった畳を断熱防音材として壁面に再利用し、高断熱のエコ住宅として生まれ変わらせた。