




急な崖地に建つ一軒家のリノベーション。周辺一帯の宅地が車道に接道せず、幅1.5mほどの階段歩道でしかアクセスできないため、再建築不可のエリアである。材料の搬出入が困難であるため、小型軽量な資材でつくりあげることを心がけた。幾度も塗装し直された劣化の激しい既存外壁(サイディング)には、その上から通常外部舗装で使用するゴムチップシートを貼り、断熱性能の向上を図るとともに建物全体が地形の一部であるような独特の印象を与えた。 住人は母と娘1人だが家財道具も多く、亡き夫・父との思い出も溢れている家。そのためシンプルにすっきりまとめてしまうよりも、むしろ家具や身の回りのものも外の風景と連続する一連の地形のように再構成して、大切な記憶に優しく包まれていると感じられるような空間をつくりあげた。