大学研究室という“巣”を中心とした従来の教育空間。専門領域の集中研究や貴重資料の機密保管には適しているが、今後重要となるのは、それらをいかに開かれた知として活用・発展させていくかである。 つまり、より活発な相互連携、ダイナミックな知的交歓の場となることである。研究室が多くを占めるフロアでは南北の通風を確保したラウンジ空間を新設し、異なる研究室に属する学生たちが、明るく開放的な環境のもとで互いの気配を感じながらも、快適な居場所を確保できるよう計画した。60mm角の鉄骨で構成される「グリーンウォール」には、自動灌水されるプランターを設置し、常緑で吸着型のツタ類と落葉で巻きつる型のつる植物8種類を植えた。鉄骨フレームの躯体壁面レベルには横ストライプ状にエキスパンドメタルを、また、窓レベルには登攀補助材を設置し、ツタ類がエキスパンドメタル部に繁茂し、つる植物が登攀補助材に沿って生育することによって、建物全体がまるで季節の衣替えをするように被覆される構成になっている。