設計事務所スターパイロッツ 三浦丈典率いる設計事務所スターパイロッツ。公共施設から店舗や住まい、建物ではないできごとまで、新築もリノベーションも問わず、まちのたのしい未来をつくる仕事をしています。

works

「東京ビエンナーレ2020計画展」でのメッセージ

一本の旗(lyric)

こどもたちよ、

きみたちにあやまりたい

街からきみたちの遊び場をなくしてしまったことを、あやまりたい。

川をなくし、高速道路をつくったことを、あやまりたい。

薬まみれの野菜が食卓に並ぶことを、あやまりたい。

馬鹿騒ぎできる場所をなくしてしまったことを、あやまりたい。

ひとりでごはんを食べさせていることを、あやまりたい。

夜空の星が見えないくらい街を明るくしてしまったことを、あやまりたい。

車がないと何もできない街をつくったことを、あやまりたい。

維持にお金のかかる街や建物をつくったことを、あやまりたい。

いままでなかった類の孤独を感じさせていることを、あやまりたい。

いつでもどこでも同じものを買えるようにしてしまったことを、あやまりたい。

木や草やたくさんの生き物たちをなくしてしまったことを、あやまりたい。

試験の点数だけできみたちの価値を計ったことを、あやまりたい。

手軽に人の心を傷つける道具を発明したことを、あやまりたい。

知らない人と関わらないよう強制したことを、あやまりたい。

冒険したくなる宝島をこの星からなくしてしまったことを、あやまりたい。

結果や効率だけを大事にする世界の仕組みをつくったことを、あやまりたい。

ほんとうにほしいもの以外のたくさんのものをつくったことを、あやまりたい。

すべてを時間で区切ることを、あやまりたい。

一部の裕福な人のためだけのルールをつくったことを、あやまりたい。

一生泳げない海や入れない森をつくってしまったことを、あやまりたい。

戦争をなくせなかったことを、あやまりたい。

大人になるのが楽しみな時代をつくれなかったことを、あやまりたい。

でも、これだけは伝えたい

街をつくるのもつかうのもすべてぼくたちだ。

もう一度奪還しよう。

いずれ立ち上がるきみたちの目印となるように、

ぼくたちはちいさな一本の旗を立てておく。